多汗症とは
多汗症は、手のひらや足の裏、ワキの下、額など汗腺が密集する部位に頻発する、汗が過剰に出る症状のことです。日本人の12%程度の方が発症し、手掌多汗症は5.25%、腋窩多汗症は5.8%程度とされています。手掌、足底の発汗過多は幼少期に発症することも珍しくありません。
汗は体温調整において重要ですが、多汗症の患者様は、暑いと感じていない時や、運動をしていない時でも異常なほど汗をかくのが特徴です。
原発性多汗症
多汗症のうち、はっきりとした原因がわかっていないものを指し、幼少期~思春期の患者様に多く見られます。
発汗を促す交感神経が盛んなためであると考えられており、精神的な緊張によって、手のひらや足の裏で大量の発汗が見られます。
続発性多汗症
多汗症のうち、はっきりとした原因があるものを指し、どの年代の方でも発症する恐れがあります。
感染症のほか、甲状腺機能亢進症等の内分泌系疾患が主な原因で、原因疾患の治療を優先して行います。
ワキ汗に悩んでいる方へ
発汗は緊張やストレス、気候の変化や運動など様々な要因で誘発されます。 わきの下はもともと汗腺が密集し、発汗しやすい部位であると言われており、ワキ汗に悩む患者様は多くいらっしゃいます。
制汗剤を使う、こまめに拭くなど、日頃から清潔にしていても、お悩みが解決されない場合は、ご来院をお勧めいたします。
多汗症の患者様のよくあるお悩み
多汗症の患者様によくみられるお悩みとして、以下のようなものがあります。
- 常にタオルが必要で、制汗剤も1日に何度も使ってしまう。
- ワキの汗染みが目立ち、人目を気にしている。
- ワキ汗用のパッドが手放せない。
- 緊張すると汗が出る体質で、意識してしまうともっと出てくる。
- 汗のにおいが周囲を不快にしていないか心配だ。
- ワキガの治療を行い、においは無くなったが、
汗の量は変わらないため気になってしまう。 - 人目を気にするあまり、仕事や学業に集中できない。
- 人間関係に難がある。
- シャツを着替えるのが大変。
- 汗が目立つため、好きな色の服が着られず困っている。
- 白いシャツや下着が黄ばみやすく、買い替える頻度が多い。
- セーターが汗で目詰まりして困る。
- 洗うことが難しい着物の袖が汗で汚れてしまう。
治療法
エクロックゲル®(外用薬)
当院ではエグロックゲル®という外用薬を処方いたします。
原発性の多汗症(原因疾患のない多汗症)で用いられる保険適応の治療薬です。
アセチルコリンという、汗腺において汗の分泌を促す物質が作用する箇所を阻害し、汗を抑えるお薬です。効果が出るのも2週間と早期に実感しやすいのが特徴です。
(閉塞性隅角緑内障・前立腺肥大のある患者様には使用できません)
ボトックス注射
当院はエグロックゲル®の外用のほか、ボトックス注射も行っております。
ボトックスとは、ボツリヌス菌から有用なタンパクのみを抽出したもので、皮下組織の汗腺(エクリン腺)を麻痺させることで、ワキの汗と気になるにおいを抑えられます。
効果は4~9ケ月持続し、手術ではないため、痛みや腫れ、傷痕の心配や通院も不要な方法になります。どなたでも受けられる治療になりますので、お気軽にご相談ください。